2005/08/24  


 栃木県の中央部、宇都宮市に隣接する上三川町、この町はカルロスゴーン社率いる日産自動車の栃木工場があることで有名ですが、地域ブランド「アスパラガス」の生産が盛んな地域でもあります。
 当地でアスパラガスの生産が始まったのは昭和の末頃。県の普及所OBの野村氏が「女性でも栽培できる野菜」として生産者に働き掛けたといいます。稲葉長広(いなば ながひろ)さん
 当初は3人でのスタートでしたが、徐々に仲間が増えて、現在では上三川町以外の生産者も加えて、50名の方がアスパラガスを栽培しています。

 なぜ、アスパラガスが当地で盛んに栽培されているのか? などの疑問についてJAうつのみやアスパラ部会長を務める稲葉長広(いなば ながひろ)さんに伺います。

 
 

 稲葉部会長さんはいつ頃からアスパラガスを栽培されているのですか?
 私は当地でアスパラガスの栽培が始まった頃から作っていますので、約17年ぐらいになるでしょうか。
 なぜ、当地でアスパラガスが広まったのでしょう?
 上三川町周辺はもともとかんぴょうの生産が盛んな地域でした。しかし昭和の終わり頃から、中国産の安価なかんぴょうの輸入が増え、かんぴょう栽培に代わる作物が求められていました。そこにアスパラガスがちょうど合ったのだと思います。
 また、行政が補助事業でパイプハウスの助成を行ったり、JAが育苗センターでアスパラの苗を供給する体制を整えたりと、関係機関や団体の支援も大きかったと思います。
 アスパラガス栽培で大切なことは?
アスパラガス栽培で大切なこと アスパラは水をたくさん必要とする植物です。各ハウスにかん水設備を入れて、土の湿り具合をみながら、だいたい1日に朝1回、たっぷりと水を与えます。あとは株の勢いなどをみながら、液肥を与えたりします。このタイミングは長年の経験と勘ですね。
 安全で美味しいアスパラを作るために工夫していることは何ですか?
傷つかない工夫 病気に強く美味しいアスパラを作るには、土作りが基本と考えています。
 私は毎冬10a(300坪)に豚ふん堆肥を2〜3トン入れていますが、牛を飼っている仲間は、自家製の牛ふん堆肥を入れるなど、それぞれで工夫をしています。それから、ハウス周りの雑草を刈ったり、株の休眠時期にあたる冬期に、地上部をバーナーで焼却するなど、病害虫の発生しにくい環境に心掛けています。
 
↑収穫したアスパラガスが傷つかないように、ネットで覆ってあります。ちょっとした工夫ですね。
 栽培期間や収穫時期について教えて下さい。
株は一度定植したら10年以上植え替えせず、大切に栽培します。
栽培期間
収穫前年 2月頃播種(育苗センター)
6月頃ハウスに苗を定植
収穫時期
収穫1年目 早いものは1月中旬頃から収穫
1年目の株 収穫始めから30日で3〜4本茎立ちさせます。
2年目の株 収穫始めから45日で3〜4本茎立ちさせます。
3年目の株 収穫始めから60日で3〜4本茎立ちさせます。
収穫 茎立ちした後は、10月中旬頃まで出てきた若芽を連続して収穫します。
 冬になり地上部が枯れたら、残渣をハウスの外に持ち出し焼却し、地上部はバーナーで焼却します。さらに、堆肥をハウスに入れて土作りを兼ねた養分補給をします。そして翌年春に芽が出るのを待つことになります。
 夏の作業はどんなものですか?
 この時期は毎日のかん水と収穫作業、防除作業などです。
  収穫作業:朝5時頃から7時頃に行います。涼しい時間帯のほうが、アスパラの品温も低いので、品質を保ちやすいからです。また、夏場は1日に5cm以上伸びるので、夕方に収穫することもあります。

防除作業:夏場はヨトウムシやアザミウマなどの害虫がつきやすいので、月に1〜2回の防除作業が必要です。ヨトウムシ食害
ヨトウムシに茎を食べられると商品価値がなくなるため、出荷ができなくなってしまします。
茎立ち