現在日本で生産されている梨の品種は「ニホンヤマナシ」という野生種を基本に改良したものといわれ、大きく青梨と赤梨の系統に分類されます。栃木県内では赤梨系統に属する幸水(こうすい。生産者は略して幸「さち」と言ったりもします)と豊水(ほうすい。生産者は略して「ゆたか」とも表現します)を中心に生産され、その2品種で栽培面積の9割を占めています。また県の農業試験場で品種育成された「にっこり」や国の試験場で育成された「あきづき」など、新しい品種も増えています。

 今回から取材に協力頂くのは、宇都宮市で梨を生産している相場さんです。園主の克元さんと奥さんの久子さん、後継者の照久さんの家族3人、パートさん3人の合計6人で1.7haを栽培しています。

 4月20日、幸水の花が満開です。今年の冬は暖冬だったため、梨の花も例年より5日程度早く咲きました。

 品種ごとの開花日と収穫時期を図式化しますと次のようになります。(数字は16年)

 花の咲いた日    収穫時期   
 幸水     4/16     8月中旬
 豊水     4/13     9月上旬
 新高     4/10     9月下旬
 にっこり   4/ 8    10月中旬

 不思議だと思いませんか?
 遅く花の咲いた品種が先に収穫できるのです。これを早生の品種といい、反対に開花が早くても収穫が遅いにっこりなどは晩生種といいます。新高やにっこりが大きな果実になるのは、開花から収穫までの生育期間が長いからなんです。

 今の管理作業

 産地では受粉作業の真っ最中。なぜ受粉作業を行うかというと、梨は同じ品種の花粉では受精しないので他の品種の花粉を人為的につける必要があるからです。

 例えば、幸水の受粉に使用する花粉は、幸水より4日ほど早く開花する豊水の葯から採ったものを使います。
 また、豊水や新高などの受粉には、長十郎や松島などの花粉を使うので、実を採るためでなく花粉を採るための品種も何本か植えてあります。
 最初に開花するにっこりには、前年に採った花粉を冷蔵保存したものを使い受粉させます。

 受粉作業はコロンブスと呼ばれる器具を使って、花の1房ずつ丁寧に花粉を付けていきます。1房に花が7〜8個咲くので、そのうち枝と反対側を向いて咲いている花を中心に花粉を吹き付けます。枝の方向を向いている花が結実すると、果実が枝に触れ皮にキズが付きやすいため、枝と反対を向く花を実にしたいのです。ただ機械的にしゅっしゅっとやっている訳ではありません。

 梨の花が咲いている間に受粉させないといけないのでこの作業は待ったなしの仕事です。相場さんの畑では、受粉作業を1週間ぐらいかけて行っています。